
さっきまで日本にいたかと思えば?
飛行機に乗り、そして鉄道、そして船にも乗って、
ぐいぐい世界を旅するジャーナリスト、坪田敦史です。
今回は旅ルポ。
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海路で国境越え。
アフリカに上陸した瞬間、タイムスリップした感覚に陥った。
港から乗ったタクシーは一応ベンツだが30年くらい前のか、角張った車ばかり走ってた。
「エキゾチック」と言えば響きは悪くないが、実際、一人旅するには、かなりやばい場所かも。
ここはもうヨーロッパではない、気を引き締めねば。
モロッコの玄関口と呼ばれるタンジェ(タンジール)。
ヨーロッパとの交易で栄えた街だ。かつては国際商人でごった返し、密輸人やスパイが暗躍する舞台だったという。
路地を一人歩きすると、僕の顔を見るや否や「トウキョウ!」「ニコン!」「トヨタ!」とか声を掛けてくる怪しい男達。
身の危険を感じる。一眼レフカメラは、カバンにしまっておいたほうがいい。
電器屋の看板は「OSAKA ELECTRONICS」とか書いてある。
とにかく、日本人=カネが歩いている、のイメージなのだろう。
20年くらい前のアジアでもそんな体験をしたが。アフリカは、発展が遅れてることを実感する。
しかしながら、タクシーの中から携帯は通じ、日本にi-modeメール送れた(不思議な世の中だ)。
公用語はアラビア語orフランス語。この街はスペイン語もよく通じるらしい。英語はあんまりだったが、なんとかなった。スペインとは一時間の時差がある。
モロッコの通貨ディルハムはスペインの港であからじめ買っておいて正解だった。ユーロもある程度使えた。
毎日ハードな生活で少し疲れていた僕は、「異文化体験」で気分リフレッシュと思って出掛けたが、完全に「アドベンチャー」だった。
再び海峡を渡って戻ったスペインが、本当に心地よく感じた。
モロッコは、かなり怪しい雰囲気の国ではあった。
ともあれ、海路で「「ユーラシア大陸」から「アフリカ大陸」へ渡るという目的は成し遂げた。
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まずバスでスペインの港町、アルヘシラス(Algeciras)へ。
往路はアルヘシラス港で出国審査を受け高速船(EUROVOYAGER号)に乗り(料金32.5ユーロ)、ジブラルタル海峡を渡った。
タンジェ市街から約45km東の新港(Tanjer Med)に着いた。
景色は綺麗な緑の丘陵地帯が広がっていたが、フェリーターミナル以外、何もない。着いたときは途方に暮れ、いっきに憂鬱になった。
市街へのバスがあると聞いていたが、待てど来る気配はない。45kmって相当な距離だが、タクシーに乗るしか手段はないと思った。新港ターミナルは綺麗だが、がらんとして活気もなく寂しかった。運転手と交渉し、20ユーロでOK、そんなにボラれないで良かった。港は撮影禁止らしい。
モロッコ入国審査は船内で。私服に近い係官1人だけ船に乗っており、自分から彼のデスクへ行きスタンプを押してもらう。彼はパスポートをスキャンするノートPCを持ってて、船が着岸する前にさっさと後片付けして、乗客と一緒に降りていった。
左上=タンジェ新港
右上=EUROVOYAGER号の船内は、あまり綺麗ではなかった。特に座席が。
左下=新港ターミナル(一応隠し撮り)。建物は立派なのだが旅人の利便性は良くない。タクシーは常時待ってる。
右下=タクシー車内から。地中海の海岸ルートを爆走するが、ときどき上り坂でエンジンが不調になることも。道路の舗装状態はあまりよくない。かなり怖い。ガードレールがない場所も多い。約1時間で市街へ。

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一人で自分の記念写真を撮るのは、至難の業。
路地でカメラ渡したら、持って逃げられそう。旧市街(メディナ)への入り口、グランソッコ(大広場)とその周辺。
ベンチでボッーとしてる人が多い、職がないのだろうか。

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路上ではいたるところで、とんがり帽子のジュラバ(ベルベル民族衣装)の人達が野菜を売っている。
バックに見えるベージュ色の旧式ベンツのタクシー集団にも注目。

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カフェには男達がたむろし(ミントティーを飲んでいる)、店の外側を向いて、目をギョロギョロさせながら往来する人達を眺めている。イスラム国なので男女がワイワイという感じはない。
当然、日本人の僕は珍しいのだろう。旧市街の路地を歩いていると、彼らの強烈な視線を浴びながら歩き続けなければいけない。何で皆、そんなに暇なのか---
左上はあちこちで見かけるスパイス屋。臭いがプンプン強烈。右上はケバブの喫茶。
物を見て歩くのは好きだが、周囲の雰囲気が怪しいので、とにかく落ち着いて見られない。
旧市街(メディナ)は、敵の侵入を防ぐため城壁に囲まれている。小さなエリアだが、ぎっしりと人や店が詰まり、複雑な迷路のような道が造られている。「路地裏歩き」好きなら、一度はどうぞ(?)

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復路はタンジェ旧市街近くのフェリー乗り場からスペインのタリファ(Tarifa)行きに乗った。しかし、パスポート入国印が新港だったため、入国地と出国地が異なるという理由で、すんなり出国できず別室に回されて審査を受けた。
フェリーの切符は、フェリーターミナル内に正規の船会社の切符売り場はなく、港周辺でウヨウヨ客引きしてる代理店で買うしか方法はないみたいだ(350DH=3200円)。当然チップを要求される、仕方ない。アフリカは、こんなところだ。
なお、タリファ港に着いたら、アルヘシラスまでフェリー利用者専用の無料バスが出ていた(この時、乗船券を回収されたので記念に持ち帰ることができなかった)。往路もこれを利用したほうが良かったと後悔したが、新港に到着してタクシーに揺られたのは、いい経験になった。
左上=タンジェ港のゲート。フランス語とアラビア語の表記がある。
右上=タリファ行きフェリー。
左下=フェリー船内。往路の船より綺麗で立派だった。
右下=タリファ港(スペイン)のターミナルでアルヘシラスより小規模の港。ここでスペインの入国審査。

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スペインのアルヘシラス港は立派なフェリーターミナル(左上)。バスターミナルから徒歩15分。ターミナル内に船会社のチケットカウンターが並んでいる(右上)
駐車場屋上は大規模なヘリポートになっている(左下)。乗客ターミナルがあり(右下)、スペイン領セウタ(アフリカ大陸)までヘリで10分の定期便が出てる。ヘリで海峡を渡る体験も、次回ぜひチャレンジしたい。
なお、このターミナル前の道路沿いは旅行業者が軒を並べて、「チケット買え!」との客引きが多いので注意。

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