火山灰の航空機トラブル (予告・世界まる見え!テレビ特捜部)
航空ジャーナリストの坪田敦史です。
火山の影響でヨーロッパ便に大変な影響が出ており、驚いています。
航空機は火山灰の中を突っ切って飛ぶことは、安全上、絶対にしません。これはもう仕方ないことです。
噴煙がもろに上がっている空域だけでなく、パイロットがコクピットから目に見えない空気中にも火山灰が漂っている可能性があり、それを発見することは、現代の技術では不可能。したがって、ヨーロッパ北部全域が危険空域となってしまっているのです。
でも、目に見えない火山灰が航空機の運航に重大な危険性があると認知されたのは、それほど昔のことではないんです。1980年代以降、火山灰が影響したエンジントラブルが世界で何件か発生し、その後の詳しい調査・分析で、運が悪ければ最悪の事態を招くことがわかったのです。
明日放送の『世界まる見え!テレビ特捜部』で、1982年に起きた英国航空009便のエンジントラブルを取り上げます。このトラブルは、ジャンボ機がインドネシア付近を巡航飛行中に火山灰を吸い込み、エンジン4つ全部停止するという異常事態が発生したものです。しかし、コクピットクルーはこのパニックを乗り越え、無事着陸に成功!ハッピーエンドな実話です。
私はこの番組の監修を担当しています(航空機監修)。
人気番組ですので、ぜひご覧下さい。
『世界まる見え!テレビ特捜部』
番組予告はこちら↓
http://www.ntv.co.jp/marumie/
4月19日放送VTR 19:56~ON AIR
~飛行機落下 謎の光の正体を追え!~
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コメント
番組ドキドキしながら見ていました。
大きな事故にならなかったのでホッとしました。
トラブルが発生した原因の解説、とても分かりやすかったです。
以前、繊維メーカーさんに
取材をさせていただいたことがあって、
「炭素繊維という素材が飛行機やロケットに使われているんですよ」
というようなことをおっしゃっていたのを思い出しました。
難しいことはよく分からないんですが、
どんなに新しい素材を使っても、
火山灰など自然災害の影響を受けない
飛行機を造るのは難しいのでしょうか…?
と、ふと思ったりしました。
坪田さんの記事を読ませていだだくと、
飛行機っていろんな側面から勉強できる
とても奥が深い乗り物なんだなぁと感じます。
素人にも分かりやすい楽しい記事をありがとうございます♪
投稿: オキタ | 2010/04/20 11:53
実にアップトゥーデイトないい番組でした。
火山灰ぐらいでなぜ飛行機を飛ばさないのかと思ってましたが、現実は恐ろしいですね。
この影響はいつまで続くんでしょうか。
投稿: ヒロ | 2010/04/21 00:44
もう20年も前ですが、1991年フィリピンのピナツボ火山噴火がまだ記憶に新しいですね。当時B747-SRを操縦していた私の父はよくこう言っておりました。「火山はダメ(フライトNG)なんだ!」
また、湾岸戦争時でも訓練中の戦闘機エンジントラブルが相次ぎ各国「砂漠仕様」に変更しているとニュースでは報道されていました。
先ほど偶然に坪田さんのブログを閲覧し見入ってしまいました。また、勝手に「私に似た人間がいたもんだ。」と思いながら、、、
私は幸い子供の時から航空環境に恵まれ小学低学年(昭和52・3年)には伊丹空港離着陸時の「エンジン音」だけで民間機種ズバリ当ててしまう能力を身に付けていたこと思い出します。当時の航空機には特徴がありましたからね。
とにかく乗り物大好き、飛行機大好きで父と同じ道を歩もうと航空自衛隊幹部候補生パイロットコースを受験したのも1990年代、、、最終選考で落ちちゃいました!悔しくて悔しくて何度も自分を責めて20年が経ってしまいました。(笑)
現在40歳、今でも操縦したいと思ってますし、出張時には時間があれば必ず各地空港探索から滑走路CHECK、風向きの確認など行い(いわゆる飛行前点検・一人ブリーフィング)翼が見える後方席でフラップを見ながら離着陸を楽しんでいる人間です。私見では現在の民間機全体に特徴が見られず、コクピットの頭が良すぎて、パイロットの操縦姿勢から工夫が見受けられないのが残念で仕方ありません。ひと昔前、最終便(国内線)では「搭乗のお客様は大変お疲れであろう。」と短い滑走路ながら接地にエンジンリバースは無く車輪の音もさせず、乗客皆様寝むったままスポットまで運んだ凄腕が懐かしい。いま、航空業界のサービスとは何であるか、私はよく考えるときがあります。「ただ飛ぶだけ」ならば私でも簡単に出来そう。(笑)
航空ジャーナリストとは大変だけ面白そうな世界ですね。これからも坪田さんの記事に共感しながら閲覧させていただきたいと思います。
投稿: 中村です。 | 2010/05/02 13:15
すごい遅いコメントで申し訳ありません。
>オキタさん
オキタさんのいらっしゃる中部はたくさんの飛行機の部品を作っている地方です。炭素繊維を使った素材(複合材)も世界一の技術レベルで、主に軽量化に役立っています。
ただ火山灰はエンジンにダメージを与えるもので空気と一緒に細かい異物が混入するのを防ぐのは、なかなか難しいことなのです。
いつも見て頂き、ありがとうございます。
投稿: 坪田 | 2010/06/19 20:32
>ヒロさん
欧州の空事情もようやく正常に戻って良かったですね。
ただ、アイスランドの周辺はまだ予断を許さないようです。
投稿: 坪田 | 2010/06/19 20:34
>中村さん
ご丁寧なコメント、感謝しております。
砂漠を低空で飛ぶ軍のヘリにはエンジン空気取り入れ口に砂塵混入防止のフィルターを付けたりしています。
昔ながらの職人技が必要な飛行機も、そして現代のコンピューターが飛ばす飛行機も、それぞれに一長一短がありますよね。
これからもよろしくお願い致します。
投稿: 坪田 | 2010/06/19 20:43